2022年 3月 の投稿一覧

テストで高得点を取る練習

もう一つ動機付け、モチベーションに関係したお話しです。

The塾は基本的に生徒の自学自習の手助けをする方針です。

勉強がわかる、つまり数学がわかる、英語がわかるというようにするためわからない単元までさかのぼり現在学校で学習している単元まで追いつくことで自分で勉強をすることができるようにするという方針でした。

しかし、今期より’テストで高得点を取る練習’を別に授業時間に追加することにしました。

塾での講義などで終了した単元はわかるようになっているはずなのですが、実際にテストを受けてみると点数がとれない。このため自分はやっても勉強ができるようにならない、やってもだめで自己肯定感があがならない、この連鎖でモチベーションが上がらない生徒が多いためです。

テストで点数を取るということは、テストで出題されている単元が理解できていることと正確には一対一ではありません。制限時間内に与えられている課題、問題の正解を書く、ということがテストで点数を取るということです。つまり、制限時間内に(この条件はすごい大切)問題の答えを書いてくるとテストの点数が取れる、ということです。

おまえは一体こんな当たり前のことをなに顔を赤くして力説しているんだと思われるヒトいるかもしれません。全くその通りでオレも恥ずかしいんだけどもうちょっとお付き合いくだされい。

1990年代にすでにテストで点数をとるためには問題を解く練習をするほうが理屈を解説する(教科書を読む等)ことや、問題の解き方を解説された講義を聞くより効率がいいことが実験で分かっています。

例えば一次関数のグラフの式を求める問題はよくテストに出題されますが、先ほどの実験では問題を解いて教科書を読み返すグループより、2点を通る1次関数のグラフを導き出す問題、傾きと通る点が問題と問題を分類しそれぞれ集中して解いたグループの方がテストの獲得点数が高くなると報告しています。

中学生の塾生の当面の目標は高校入試をパスすることですから福岡県の入試問題が早く正確に解けるように練習をするのもありかというところです。学問の本質からいうと教科の理解という点とはまったく関係のない話で忸怩たる思い(自分の言動を深く反省し、自身の未熟さや情けなさ、みっともない気持。広辞苑)もあるのですが背に腹は代えられません。

これまで塾では学習した単元が’わかる’ようになったら、自分で学校からもらっている問題集などでこういった練習をするようにやり方とアドバイスをしていたのですが、なかなか要領をつかむのが難しいようで、このため今期より授業時間を追加しテストで点数を取る練習にあてることにしました。

先ほど触れましたように学問的なところとは関係ないテクニック的なことなのでちょっと残念ではあるのですが、勉強をした成果の一部はテストの結果で反映されるので生徒の達成感、満足感を上げるという点からは仕方がないと割り切ることにしました。

これは中学生についての変更点で高校生についてはこれまでと変わりありません。

と言いますのが、大学受験の問題は高校受験と比較にならず覚えるべき問題のパターンが多いので、理解が終わったら次に問題を解く練習、つまりパターンを覚えてもらう練習も塾の方でこれまでも時間を取っていました。

かなり要領のいい人間でない限り例えばチャートの問題を解いていっただけで自力で問題のバターンが頭の中で整理されるとはならないことが分かっていたからです。

ベクトル方程式の問題を解くとき、起点をそろえるパターン、位置ベクトルを使うパターン、座標として解くパターンと整理し意識して練習するということです。これをしないで問題をランダムに解く練習だけしているといつまっでたっても試験場で‘ひらめき’や‘解法を思いついて’解くことになり、解法をパターンとして覚えていて試験場で吐き出すトレーニングをしている人間と競争すると負けてしまいます。

しかし、高校生に関しても今期より問題のパターンを練習する時間を多くとってもらうことにしました。忸怩たる思いですね(笑)。

解法のパターンを分類して覚えて練習して問題を解くという方法はテストに制限時間があり絶対に正解が存在するという条件下では最強でこれ以上効率のいい方法はありません。

しかしながら、学問としての数学、理科学(物理・化学・生物・地学)、社会科学、英語には答えが分かっていない、それどころか答えが本当に存在するのかわからない問題がたくさんあります。テストで高得点を取る練習はそういった問題の解決する延長にはなりません。そのあたりが忸怩たる思いなのです。

もちろんテストで良い点数を取ることは悪いことではありませんが、皆さんには試験なんてとっととパスしてしまってそういう世界をいつか覗いてもらいたいものだと思います。

 

 

動機づけの話-プロジェクトKの後始末

やる気、つまり動機付けの話です。

勉強のやる気が出ない問題、というのは以前から課題でした。

生徒もやる気を出して勉強しないとダメということはヒトに言われるまでもなく良く分かっているんですが、どうしても勉強する気にならない。当たり前の話なんですが、勉強をしないと成績は上がらないので、勉強をしてくれない生徒さんの成績が上がらず父兄は生徒が上がらない塾に子供を通わせるわけにはいかないという結論を出し生徒が退塾する、という塾的には残念な結果になるわけです。

以前にこのコラムでが、子供が勉強しないのが悪いので、と言って下さった退塾する塾生の保護者の方の話をしたことがあるのですが、その時に大変申し訳ない恐縮した思いと、もし坪田先生ならやる気を引き出せたんじゃないかととか思ったことを書いています。

その時から生徒のモチベーションを上げる、つまり動機付けのテクニックが塾として方法論が必要と考え、動機付けについて講師のレベルを上げる勉強会をしています。坪田塾の中野先生(当塾の立ち上げから坪田先生より派遣していただき塾の運営などのご指導をしていただいております。現在ご出世され坪田塾の代表取締役になられました)に足を運んでいただき心理学的な理論、動機付けの研修をしていただいています。

モチベーションを上げる、動機付けって何だろうということをこれまでのうまくいかなかった指導から分析して心理学的な解析をしているのです。

期待理論という心理学の動機付けについての説明があります。動機付けすることにも理屈があって、やりたい・達成したいという思いとやれそうという気持ちの掛け算が動機になるというものです。

つまり、これはどう考えても無理やわという目標、例えば今すぐバッターボックスに立って大谷翔平選手の時速162kmの速球を打つとか。これはやれそうという気持ちゼロで、いくらメジャーリーグでヒット打ったらめちゃかっこいいだろうなあ、というやりたい・達成したい思いが大きくてもモチベーションはゼロになります。

逆にやれそうという気持ちがいくら高くても、つまりめちゃくちゃ簡単なこと、例えば中学生がひらがなのテストを受けるとかは、やれそう感・気持ちは100%ですが、やりたい・達成したい思いは低くそうです。ひらがなテスト100点とってどうするの、とか友達に言われそうですから。動機付け値はやはり低くなりそうですね。

今回のK君のケースも心理学的な面からのアプローチをしました。

K君がどうしてやる気が今一つ上がらないか、動機付けがなぜできないかを検討しました。

彼の場合やれそう感の高くなる目標設定は問題なかったはずですが(我々が目標設定しているので(笑))、やりたい・達成したい思いに問題があるのではないかと予想されました。

つまり彼が将来やりたいことは大学に行くメリットがそれほど大きくない、大学に行かなくてもその職業に就くことはできる。大学に行くことで中での出世が早くなる、程度が大学のメリットでした。このため大学に行きたいという気持ち、やりたい・達成したい思いというのが大きくないので達成できそう感を高めても掛け算すると動機付け、モチベーションが高くならなかったということだったのです。

現在、塾の生徒さんの背景の聞き取りを詳しくしています。

あなたは何をしたいですか?勉強は好きですか嫌いですか?なぜ塾にくるのですか?熱中していることありますか?学校のなにが好きですか嫌いですか?好きなスポーツは・・・

大抵の生徒さんは特に未来のことなどを考えたりはしていないのでなかなか簡単には彼らの心の深みに隠れた感情というのは聞き取れないのですが、データーを集めて指導に生かしていこうと思います。

やる気スイッチを押すとか、やる気を出させる@@マジックの話術(笑)などからはほどど遠いのですが、The塾的な科学的なアプローチをしていこうと思います。

 

プロジェクトKの報告(断念することになりました)

残念ですがプロジェクトK打ち切ることになりました。

リアルタイムでK君の勉強の進捗を報告し彼が目標達成・歓喜するところを皆様と共有していただこうという企画だったのですが、勉強時間の確保、勉強の習慣化という最初の最初のところからなかなか先に進まなかったのです。

この問題は塾に通ってくる生徒さん全般に共通する問題点で、以前’やめていく塾生さん’でも塾としての方法論が必要と書いていました。

結局のところ生徒が勉強しないのは彼らのモチベーションが上がらないことが原因なのですが、そういうことはこちらで指摘しなくても本人も親もよくわかっている話で問題はどうやってモチベーションを上げるかということです。

モチベーション、動機付けって何だろうということをこれまでのうまくいかなかった指導から分析して心理学的な解析を塾の方では取り組みを始めています。

動機付けにも理屈があって、やりたい・達成したいという思いとやれそうという気持ちの掛け算が動機になるようです。

K君がどうしてやる気が今一つ上がらないか、動機付けがなぜできないかを検討しました。

当初はやれそうという気持ちに問題があるのではないかと考え勉強のハードルを下げていきました。これは学校の授業が面白くない生徒さんの場合によくあてはまるのですが、現在やっている授業が本人が理解している段階より進み過ぎていると、これ宿題だから明日までにやってきて、っていう先生的には簡単と考えている宿題が生徒にとっては難しすぎるというやつです。こういう場合勉強する単元のレベルを下げる、つまり少し前の単元から始めていくとできるのでモチベーションが上がるはずです。

K君はどんどんさかのぼってできるはずというところから復習をスタートしました。本人的にはちょうどわかるレベルのところのはずなのですが、なかなか勉強に身が入らない状態が続きました。身が入らないというのはあまり科学的な言い方ではないのですが、見ているとどうも塾で達成した単元の復習時間が足らず定着がうまくいかない状態が続きました。

坪田塾の中野先生に相談したのですが、どうやらやっている単元の問題ではなく、つまりやれそう感の問題ではないのではないのではなく、やりたい、達成したい気持ちの問題の可能性を考えさらに詳しく聞き取りをしてみました。

どうやら彼が将来的にしたいと考えている仕事は大学に無理していかなくてもできて、可能であれば大学に行きたい程度の意識であるということでした。

そこで話し合いです。

どのくらい大学に行くことが彼の将来目指す職業に必要であるか、を本人に考えてもらいました。どうやら大学に行くことで有利である、例えば出世が早いなどの利点はあるのですが、できれば行きたいくらいの気持ちであることが分かりました。分かったのは本人を含めてで、K君自身もそこまで深く考えていなかったようです。

それなら後はどうするか。

K君本人がどのくらい強く大学に行った方がいい、と考えるかを彼自身に考えてもらいました。結論から言うとそこまで大学に行く強い情熱を持てなさそうという彼の気持ちが分かりました。

どうやら最初の目標を立てるところがずれていたようでした。

本人や保護者とも相談しいったん計画は打ち切ることにしようという結論になりました。

残念な結果になったのですが、いろいろ教訓を残してくれた経験になりました。