やる気、つまり動機付けの話です。
勉強のやる気が出ない問題、というのは以前から課題でした。
生徒もやる気を出して勉強しないとダメということはヒトに言われるまでもなく良く分かっているんですが、どうしても勉強する気にならない。当たり前の話なんですが、勉強をしないと成績は上がらないので、勉強をしてくれない生徒さんの成績が上がらず父兄は生徒が上がらない塾に子供を通わせるわけにはいかないという結論を出し生徒が退塾する、という塾的には残念な結果になるわけです。
以前にこのコラムでが、子供が勉強しないのが悪いので、と言って下さった退塾する塾生の保護者の方の話をしたことがあるのですが、その時に大変申し訳ない恐縮した思いと、もし坪田先生ならやる気を引き出せたんじゃないかととか思ったことを書いています。
その時から生徒のモチベーションを上げる、つまり動機付けのテクニックが塾として方法論が必要と考え、動機付けについて講師のレベルを上げる勉強会をしています。坪田塾の中野先生(当塾の立ち上げから坪田先生より派遣していただき塾の運営などのご指導をしていただいております。現在ご出世され坪田塾の代表取締役になられました)に足を運んでいただき心理学的な理論、動機付けの研修をしていただいています。
モチベーションを上げる、動機付けって何だろうということをこれまでのうまくいかなかった指導から分析して心理学的な解析をしているのです。
期待理論という心理学の動機付けについての説明があります。動機付けすることにも理屈があって、やりたい・達成したいという思いとやれそうという気持ちの掛け算が動機になるというものです。
つまり、これはどう考えても無理やわという目標、例えば今すぐバッターボックスに立って大谷翔平選手の時速162kmの速球を打つとか。これはやれそうという気持ちゼロで、いくらメジャーリーグでヒット打ったらめちゃかっこいいだろうなあ、というやりたい・達成したい思いが大きくてもモチベーションはゼロになります。
逆にやれそうという気持ちがいくら高くても、つまりめちゃくちゃ簡単なこと、例えば中学生がひらがなのテストを受けるとかは、やれそう感・気持ちは100%ですが、やりたい・達成したい思いは低くそうです。ひらがなテスト100点とってどうするの、とか友達に言われそうですから。動機付け値はやはり低くなりそうですね。
今回のK君のケースも心理学的な面からのアプローチをしました。
K君がどうしてやる気が今一つ上がらないか、動機付けがなぜできないかを検討しました。
彼の場合やれそう感の高くなる目標設定は問題なかったはずですが(我々が目標設定しているので(笑))、やりたい・達成したい思いに問題があるのではないかと予想されました。
つまり彼が将来やりたいことは大学に行くメリットがそれほど大きくない、大学に行かなくてもその職業に就くことはできる。大学に行くことで中での出世が早くなる、程度が大学のメリットでした。このため大学に行きたいという気持ち、やりたい・達成したい思いというのが大きくないので達成できそう感を高めても掛け算すると動機付け、モチベーションが高くならなかったということだったのです。
現在、塾の生徒さんの背景の聞き取りを詳しくしています。
あなたは何をしたいですか?勉強は好きですか嫌いですか?なぜ塾にくるのですか?熱中していることありますか?学校のなにが好きですか嫌いですか?好きなスポーツは・・・
大抵の生徒さんは特に未来のことなどを考えたりはしていないのでなかなか簡単には彼らの心の深みに隠れた感情というのは聞き取れないのですが、データーを集めて指導に生かしていこうと思います。
やる気スイッチを押すとか、やる気を出させる@@マジックの話術(笑)などからはほどど遠いのですが、The塾的な科学的なアプローチをしていこうと思います。